映画部門

モスト・リスペクト in Paris 賞

1957年(昭和32年)パリ市会理事部で両市の友情盟約締結が承認され、京都市も京都・パリ友情盟約の成立を宣言しました。
今回の京都国際映画祭を記念し、この賞を設け、パリ出身のイレーネ・ジャコブさんに授与させていただきます。カンヌ国際映画祭主演女優賞を受賞され、世界各国の名匠・巨匠の監督に請われ数々の名作に出演した彼女は、まさに芸術の都パリを代表する映画人と言えます。本映画祭では、それを記念し『ふたりのベロニカ』『トリコロール 赤の愛』 の2本を上映させていただきます。

イレーヌ・ジャコブ

イレーヌ・ジャコブ
ベルリンの壁が崩壊し、政治や経済、文化や思想の変化を欧州にもたらしたのは1989年。『ふたりのベロニカ』(91)の冒頭で、レーニンの巨大像がトラックで運ばれる横をイレーヌ・ジャコブが歩いてゆく場面があるのは、そんな時代背景があったからだ。
斯様な国境を越えて行き来する<自由>を象徴するように、フランス生まれであるイレーヌのフィルモグラフィーは、ポーランドのクシシュトフ・キェシロフスキ、イタリアのミケランジェロ・アントニオーニ、ギリシアのテオ・アンゲロプロスなど、ヨーロッパ各国の名監督たちとボーダレスな女優活動を歩んで来たことを明示している。
その幅広さは、『逃亡者』(93)の続編『追跡者』(98)というハリウッドのエンタテインメント作品の中で、彼女が違和感なく活躍する姿にも表れていたことを忘れてはならない。
『ふたりのベロニカ』撮影当時24歳だったイレーヌ・ジャコブは、現在48歳。撮影された1990年を<鏡>に見立てた時、2014年までの女優人生は、彼女の人生の「半身」として位置付けることが出来る。
『ふたりのベロニカ』でイレーヌの演じたヒロインが、鏡に映された如く外見の良く似た「2人の女性」=「分身」であったことは、単なる偶然とも思えない。それは、道程の所以が、往々にしてその原点にあるからだ。

映画評論家 松﨑健夫

上映作品

ふたりのベロニカ

監督
クシュトフ・キェシロフスキ
出演
イレーヌ・ジャコブ
作品情報
フランス/1991/98分
上映情報
日時
10月17日(金) 14:00〜
会場
イオンシネマ京都桂川 スクリーン2
登壇
イレーヌ・ジャコブ

トリコロール 赤の愛

監督
クシュトフ・キェシロフスキ
出演
イレーヌ・ジャコブ
作品情報
フランス/1994/96分
上映情報
日時
10月18日(土) 10:50〜
会場
イオンシネマ京都桂川 スクリーン2
登壇
フルーツポンチ