京都国際映画祭では、世界的に著名な俳優や監督を讃え、敬意を払うための賞を設けます。
初の記念すべき受賞者は、俳優、監督として大成功をおさめ、80歳を超える今なお、現役の映画監督として、世界の映画関係者、映画ファンに多大な影響を与え続ける、クリント・イーストウッド氏へ贈らせて頂きます。
本映画祭では、それを記念し、『ダーティハリー』『許されざる者』 『父親たちの星条旗』『グラン・トリノ』の4本を上映させていただきます。

数年前、クリント・イーストウッドに＜巨匠＞という冠を付けた大学生がいて驚愕した事があった。しかし当人が「映画を観始めた頃、彼は既にアカデミー賞監督だった」とその理由を語ったことで、私は「なるほど」と思ったのである。個人的には『ダーティハリー』（71）における“ハリー・キャラハン刑事”のイメージが強い。そんなこともあって、同年『恐怖のメロディ』（71）で既に監督デビューを果たしていたとはいえ、彼に対して＜監督＞或いは＜巨匠＞などというイメージが私には無いのだ。
一方で、子供の頃『ダーティハリー』をテレビで見ていた父が「イーストウッドは『ローハイド』の生意気な若造ロディのイメージなんだけどな」と話していたのを思い出す。『ローハイド』は、日本でも1959年から放映されたアメリカのTV西部劇だった。実は「何時クリント・イーストウッドを知ったのか？」によって、彼のイメージが異なるのだ。つまりそれは、約55年もの長きに渡って、イーストウッドが常に映画界の第一線で変容しながらも活躍してきたことを意味する。彼は、俳優であり、監督であり、プロデューサーであり、音楽家であり、また政治家でもあるのだ。貴方にとってのクリント・イーストウッドはどんなイメージなのだろう？たとえ答えが他人と異なっていたとしても、それが正解であることは言うまでもない。

映画評論家　松﨑健夫

【受賞メッセージ】
Thank you, Kyoto International Film and Art Festival, for this honor. It’s especially gratifying to be recognized by the film community of Kyoto. The support you’ve given us over the years is much appreciated, and though we’re currently in post-production on American Sniper, we wanted to send along our sincerest thanks for this wonderful tribute.

京都国際映画祭のこの賞の受賞については、大変光栄に感じています。また、特に京都という場で、私の作品が人々の目に触れる機会を作っていただけることを心より嬉しく思います。
長年に渡る貴方の私に対する支持についても心より感謝申し上げますとともに、本日、アメリカンスナイパーの撮影真最中ということもあり、京都を訪れることはできませんが、京都国際映画祭での貴重なこの取組に対して私より厚く御礼を申し上げます。

映画『ジャージー・ボーイズ』
大阪ステーションシティシネマにて9月27日より公開
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