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壁塗りのポイントはタイミング!? 京都伝統の職人技「左官」を体感!

2014-10-18
レポート
京都の神社仏閣や、由緒ある日本家屋の「アート」と呼べるほどの美しさは、京都で育まれてきた職人さんたちの確かな技があってこそ! そんな伝統の職人技のひとつ「左官」の技術を体験できるワークショップが、10月18日、元・立誠小学校で催されました。
「左官」とは、建物の壁などをコテを使って塗り上げるお仕事のこと。
そんな古来より続く伝統の技を教えてくれる講師は、京都左官協同組合に所属するベテラン左官職人・山本正男さんです。
ナビゲーターを務める京都国際映画祭「アート部門」総合プロデューサーのおかけんたをまず驚かせたのは、山本さんの隣にドンと立てられた、畳一帖ほどもある大きな“壁”。これが一体どう使われるのか? 小さなお子さんや若い女性、お父さん世代の男性など幅広い層が集った参加者のみなさんも興味津々です。
京都のお寺や神社など歴史的な建造物はもちろん、元・立誠小学校のある祇園界隈の「お茶屋さんや料理屋さんの壁はほとんど塗りました」という山本さん。そんな経験豊富な大ベテラン曰く、きめの細かい京都の土は土壁の材料に「最適」で、「水を加えるだけで壁に塗れるのは京都の土だけ」なんだそう。
 
そこで、山本さんに持って来ていただいた、実際に壁塗りに使われている京都の土を見せてもらうことに。
会場で練り上げたばかりの土は、滑らかでツヤツヤとした黄土色。
「カレーみたい! 食べたくなるぐらいキレイ!」と、おかけんたも感動の美しさで、参加者のみなさんも思わず「おぉ……」と感激の声を上げていました。
 
さて、ここでいよいよ、あの“壁”の登場! 
山本さんが板にたっぷりと載せた土をコテで壁に塗り込み、左官の技を披露します。
キレイに塗るポイントは、絶妙のタイミングで板を傾けてコテに土を載せ、そのまま壁に沿って一気にコテを上に向かって滑らせることとか。
あっという間に壁の半分ほどを塗りおえてしまった山本さんの早技に「うわ〜!」「スゴイ!」と目を輝かせる会場一同。
そこでおかけんたが「塗ってみたい人は?」と挑戦者を募ると、小学6年生の男の子トリオが元気よく名乗りを挙げてくれました。
実は、左官職人を目指す若い人たちの指導にも積極的に取り組まれているという山本さんは「板を傾けて、下に落ちないうちにコテですくう!」とまるでお弟子さんに教え込むように熱心に指導!ですが、熟練の職人技をすぐに真似できるわけもなく、男の子たちは四苦八苦です。
それでも、上手に塗れたときには「うまい!将来性あります!」と褒め、うっかり土を落として壁を汚してしまったときには「最初は汚すことから覚えるんですよ」とやさしく励ますなど、本当に教え上手な山本さんに乗せられ(?)、男の子たちは壁塗りに夢中になっていました。

さらにワークショップでは、絵の具のように色とりどりの土を使って絵を描く「色聚楽塗り絵」体験も。和紙の上にカブトムシや花火などの絵柄を切り抜いたプラスチックの板を置き、上から小さなコテで土を塗るステンシルの要領で絵を仕上げていきます。
これに挑戦した小さな女の子が、さまざまな色を大胆に塗りたくり、カンバスに色を叩きつける前衛アーティストのようなその手法には「これ自体が抽象画みたい」と。おかけんたもビックリ! 
その結果、さまざまな色が混じり合った幻想的な絵が完成し、参加者のみなさんから「キレイ!」と歓声が上がっていました。
最後は山本さんら左官職人さんが土を磨き上げて作ったという、まるで大理石のようにピカピカの“泥だんご”を参加者にプレゼント!
楽しみながら伝統の技を学べるワークショップは大盛況でした。