18日、よしもと祇園花月で特別上映企画「おもちゃ映画とちびっ子ギャング」が開催され、活動弁士の山崎バニラさん、大阪芸術大学の太田米男教授、池乃めだか、内場勝則、月亭八光が来場しました。
「サイレント映画特集」として、世界の喜劇映画の原点を探る本プログラム。サイレント喜劇映画の傑作を活弁とともに上映し、映像と音のコラボレーションによる新しい映画の見方を提案しました。昨日行われた「日本喜劇映画の神様 斎藤寅次郎」「喜劇映画のルーツ ファッティとキートン」に続く、3回目のプログラムとなった今回は、「おもちゃ映画とちびっ子ギャング」を特集。
「おもちゃ映画」とは、大正から昭和にかけて普及した玩具映写機用に切り売りされた無声映画の断片のこと。「今回のプログラムのテーマは映画の原点を探るということ。おもちゃ映画はアニメの原点ですからね」と太田教授が語る通り、玩具映写機専用に作られたアニメ作品は、日本アニメのルーツだと言えます。この「おもちゃ映画」の活弁を披露するのは、高い声質が特徴的な活動弁士、山崎バニラさん。彼女は、大正琴やピアノを弾きながら活弁を行う気鋭の活弁士ですが、一方で「ドラえもん」「妖怪ウォッチ」「ポケットモンスター」など人気アニメ作品で声優を務めるなど、幅広く活動しています。
「一見、古風な暮らしをしているように思われがちですが、実はパソコンを使って映像を作ったりもしたので、そこをご覧ください」とのバニラさんの紹介で、『活動写真いまむかし』を上映。今から100年以上前、映画がいかにして始まったかを、実際の映画の映像や、イラストなどを交えて分かりやすく解説した同作。会場に集まった人も興味津々で映画を観ていました。
続いて『怒濤のおもちゃ映画特集』を上映。「太田先生とやりとりした中から選ばれた150作品の中から厳選した14本を上映します。おもちゃ映画が一気に上映されるのは初めてだと思います」と切り出すと、30分のまとめた映画を上映。大正琴とミニ銅鑼を駆使して行うバニラさんの熱演に盛り上がる会場内。太田教授も「バニラさんの声はアニメによく合うんですよ」と絶賛。八光も「この映画館の雰囲気もええしね」と感銘を受けた様子です。
そして最後は、傑作『ちびっ子ギャングの突貫ガラクタ列車』を上映。今度はピアノを駆使して、活弁を行うバニラさん。めだかも「バニラさんを見たら、手をクロスさせたりして、ピアノを弾いていた。すごいなあ。僕にはできない」と感心した様子。太田教授も「特にバニラさんはすごいんですよ。活弁と演奏と一緒にやるというのはまずないんです」とその言葉に同意。内場も「こういう機会がないと、サイレント映画のことも知らないままで終わるじゃないですか。知識も広がるし、楽しいものに触れあえたと思います」と満足げな顔を見せました。