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『ベイブルース ~25歳と364日~』舞台挨拶で高山トモヒロ監督が出演者と撮影裏話を語る!

2014-10-18
レポート
10月18日(土)、イオンシネマ京都桂川で特別招待作品『ベイブルース ~25歳と364日~』が上演されました。
まもなく訪れる10月31日、ベイブルース・河本栄得さんの20回目の命日に公開されるこちらの作品。
1994年10月31日、河本さんが脳出血で急逝して20年が経とうとしています。そんななか、相方の高山トモヒロが自ら執筆した小説を原作に初監督。ついに映画化が実現しました。

 上映後の舞台挨拶には、出演の波岡一喜さん、趙珉和さん、かつみ♥、オール巨人、高山トモヒロ監督が出席。

高山役を演じた波岡さんは「今回は、京都国際映画祭に出席させていただき、そして昨日グランドオープンしたばかりのこんなキレイな素晴らしい劇場で、こんなにたくさんの方々に観ていただいて、今日はほんまにありがとうございます」とご挨拶。
河本役の趙さんも「こんなに大きい映画館だと思っていませんでした。スクリーンもすごく大きくて、僕もこんな映画館で見たいなと思いました」と感激していました。
本人役で出演のオール巨人は、京都国際映画祭のオープニングレセプションでの出来事を披露。「オープニングレセプションで新喜劇の川畑泰史が来てまして。彼も『摂氏100℃の微熱』という映画に出てるんですね。そこで、『巨人師匠、映画に何分出はったんですか?』と聞かれたんで『僕は2~3分ちゃうかな? 君は?』と聞いたら『5秒です』やて。出演時間5秒でも京都国際映画祭に参加できるんですね」と話し、お客さんを沸かせていました。
 
また、今作について「実話というのは説得力があります。1人の漫才師が亡くなってしまったということを頭に置いていただき、僕はこの映画は、芸人がこれから目指す道や目指し方、漫才師だけでなくサラリーマンでもそうですが、『何かを目指す時にこういう気持ちでやらなあかんな』というひとつの指標になっていると思います」と熱く語りました。

そして高山監督は「どうも、改めまして…ベイブルースの生きてる方です」と挨拶すると、お客さんから笑いと拍手が。それを聞いて「よかった! ウケた! これ、楽屋で巨人師匠に『ウケますかね?』と相談してたんです」とウケたことを喜んでいました。すると突然、劇場出入口の方から「ウケてたよ~!」と❤さゆりの声が! その姿を見てお客さんは大喜び。「さゆりちゃん! 映画に出てへんのに一番拍手が多いじゃないですか! しかも監督の時に出てくるってどういうことや!」と思わずツッコむ高山監督でした。

自ら書いた小説の映画化が決まったきっかけを聞かれた高山監督は「5年前に本を出した時点でベイブルースの話はゴールやと思っていました。でも映画を撮り出す半年前に会社から電話がありまして『ベイブルースの本が映画になるから、監督はおまえやから。なんとかなるわ』と言われて現在に至る、という感じなんです」と意外な経緯を告白。「会社の方が、これはひとつの作品として残した方がいいのではないかと感じてくださったのでは」とも。映画化を最初は喜んだものの、日が迫るにつれてプレッシャーもあったそう。「自分ひとりの話やったらいいんですけど、まず河本栄得が乗っかっているし、さらに河本くんの家族が乗っかっているので、『初めて作ったんでコケました』なんて言えないと思いました。これまで野球をがんばったりとか、若手のときは漫才をがんばったりとか、人生でいろいろあったんですけど、この映画作りは今までの人生の中で一番がんばりました」と語る高山監督からは、作品への熱い思いが伝わって来るようでした。

波岡さんと趙さんは、「僕らはちょうどベイブルースの漫才を見ていた世代なので、『大丈夫かな』という感じでした」とも。2人が演じる漫才はこの映画の中でも大きな見どころのひとつ。
波岡さんは「漫才はめっちゃ大変でした。芝居の部分より、漫才シーンの練習にほぼ時間を費やしていてました」とかなり力を入れた様子。
高山監督も2人の漫才特訓をふり返り、「クランクインする前に1週間ほど時間を取って稽古したんですが、3日でやめました」と言います。
なぜ稽古を3日間でやめることに? 「初日、稽古というのに、まず2人とも台本を持ってないんです。ネタ4~5本、短いネタもありますが、4分ぐらいのネタを2人ともガッツリ頭に叩き込んできてたんです」。その気合の入りように「これはすごいものが出来上がる」と予感したという高山監督。
しかし「でも3日目で、ベイブルースを超えてしまった。当時の20代の僕たちの漫才よりもうまい漫才になっとるやないかい!(笑)だから僕の指導は『ベイブルースはもっと下手やったんや! おまえら、うまくなりすぎてるねん!』というものでした」と、波岡さんと趙さんの努力の末に完成された漫才を絶賛。
オール巨人も「僕も審査員をよくするんですけど、うまかったよ。THE MANZAIとかM-1とか、出たらどう?」とお褒めの言葉! その言葉を受けてお客さんからも大きな拍手が。さらにオール巨人は「漫才は難しい。アナウンサー2人が寄って、あんなに喋れる人たちでも漫才はできませんからね。そこはさすが役者さんやと思いました」と2人を絶賛。
高山監督も「ベイブルースはボケがストーリーを運ぶんですけど、趙くんが低いトーンで運んだら、波岡くんもちゃんと低いトーンで入るんです。それぐらいハーモニーが合う。そんなこと、若い時はできない。そのへんのバランスがすごくよかった」、オール巨人も「やっぱし役者さんやからやわ。基礎があるんやわ」と、止まることのないベタ褒めに、ついに波岡さんが「分かりました! THE MANZAI、出させていただきます!」と宣言するひと幕も!
それぞれ作品を見ての感想も語り合いました。
まずかつみ♥は、「僕が最初に思ったのが、高山くんの奥さんはあんなにきれいじゃありません!」とキッパリ。
またもすかさず「じゃかしいわい!」とツッコむ高山監督でした。

劇中で高山監督の奥さんを演じたのは、安田美沙子さん。
高山監督は、「僕の嫁はゴツイんですけど、美沙子ちゃんのロケの日に差し入れを持ってきまして…。美沙子ちゃんに『え!? 私の役の人、こんなデブなん!?』と思われたら嫌やから、『美沙子ちゃん、ごめんな。ヒロインを演じてもらってるけど、実物はこんなんやねん』って紹介したら、うちの嫁が『美沙子ちゃんも結婚して20年ぐらい家におったらこんな感じになるわ』と言ってました(笑)」。と楽屋でのエピソードを披露しました。
また、オール巨人は自身の役柄をふり返り「映画の中で僕は怖い役になってますが、僕はホントはめちゃくちゃ優しい奴なんですよ。そのへんは頭に入れていただいてもらえたら。以前、あるバラエティ番組で、僕がフットボールアワー・後藤に『靴が汚い! そんなんで舞台に出るな!』と言うたらしいんですが、記憶はあるけどそんなに強く言ってなくて。それにそのあと、後藤に『これで新しい靴を買ってこい』と1万円渡したんですけど、そこのエピソードはカットされてたんです。そこも流してほしかった(笑)。今日、ご来場の方々に話せただけでもスッとしました」と優しさをアピール。お客さんも拍手で応えます。
しかし映画の中でNSCの講師としてオール巨人が生徒たちを厳しく怒るシーンがあり、高山監督は「撮影なんですけど、『ほんまに師匠が怒ってる』という空気になった。それぐらい威圧感がありました」と語り、波岡さんも「めっちゃ怖かったです(笑)」とふり返っていました。

最後に、高山監督は「監督として何も勉強せずにクランクインしましたが、情熱だけは忘れませんでした。その情熱が演者の皆さんにも伝わったんだと思います。芸人なので、ちょっとええかっこをするシーンとか、『そうくるか?』みたいなシーンも入れたかったんですけど、ここはまっすぐな青春映画にしよう、と。ベイブルースを知らない人にも分かってもらえる映画でいいんじゃないかなと思っています。これを見ていただいて、友達の大切さ、家族への愛、友達との亀裂の修復の方法、命の尊さなど、何かひとつ持って、明るい気持ちで帰ってもらえる映画になったらいいなと思って作っています。この映画を広めたいです。関西だけでなく、全国に広めたいです。ぜひ宣伝していただきたいです」とPRしました。