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魔鏡が見られるワークショップを開催

2014-10-18
レポート
映画だけでなく、アートもひとつの目玉となっている京都国際映画祭。
3日目となる18日(土)には、京都が誇る伝統工芸の職人によるワークショップが行われました。
その中のひとつ、山本合金製作所でのワークショップの様子をリポートします。
日本で唯一、伝統工芸品「魔鏡」を手作業で仕上げている同製作所。
魔鏡とは一見普通の鏡に見えるのですが、強い光を当てて反射させると背面に描かれたものが浮かび上がるという、不思議な鏡。
安部首相がローマ法王に贈呈した鏡も、山本合金製作所が作ったものなんだとか。

今回のワークショップは、メイン会場となる元・立誠小学校ではなく、下京区である製作所で行われました。
見慣れない道具類が置かれた作業場は、まさに工房といった雰囲気。13時30分、ワークショップがスタートします。

まずは鏡作りについてのレクチャーから。合金を鋳型に流し込む鋳造から、削り、研ぎといった作業、ヤスリや「セン」と呼ばれる特殊な道具などについての説明を受けます。
次に先生の実演。
木枠に固定した型に錫を流し込む作業には、参加者も興味津々の様子です。それから削りの作業。先生が作業スペースに腰を降ろし、鏡にヤスリをかけていきます。金属と金属が触れ合う「シャッ、シャッ」という規則正しい音が響く中、参加者たちもじっと作業の様子を見守ります。ヤスリ掛けを仕上げるのに2、3日はかかること、普段は神社などに納める御神鏡の製作や修復などを手がけていることなどを話してくれる先生。参加者たちからの質問にも答えつつ、実演は進行していきます。
次の研ぎの工程は、屋外での作業。
水を張ったたらいほどの大きさの桶の上で、砥石や炭を使って研いでいきます。先ほどの削りもそうでしたが、こちらもかなり力の入る作業のよう。見ている方にも自然と力が入ります。
こうして鏡作りの一連の流れを見たあとは、いよいよ魔鏡が登場。

先生が魔鏡に太陽の光を反射させ、用意した白い板にその光を当てると、そこにはキリストの姿が。「オオ〜ッ!」参加者からも思わず驚きの声が上がります。
魔鏡の価格を尋ねる参加者もいるなど、和やかなムードの中、次は錫を使った小物製作に移ります。
まず、100度ほどの比較的低温に熱した錫を床の上に流し、固めます。
そして気に入った形のものに、文字や数字を刻印して作品にするというのが今回の流れ。
参加者は一人ずつ、軍手をはめ、慎重に作業をしていきます。
しかし、錫を流すのがなかなか難しいようで、思うような形にならない人、予想以上に多くの錫を使ってしまう人など、各自が悪戦苦闘。
それでもなんとかお気に入りの形を作り、固まるのを待って、思い思いに刻印で文字を打っていきます。

参加者の一人、アメリカ・フロリダ出身のレイチェルさんは、京都在住4年。今回は職場でこのワークショップがあることを聞きやってきたとのこと。
「うまくできましたか?」の問いかけに「イエス!」と大きくうなずいてくれました。ほかの参加者たちも、個性あふれる自分だけの作品を作り上げ大満足の様子。
全員の笑顔で今回のワークショップは幕を閉じました。