17日、クリント・イーストウッド氏がモスト・リスペクト賞を受賞したことを記念して、よしもと祇園花月で映画『父親たちの星条旗』(2006年)の上映会が実施されました。この日はゲストとして、サバンナ、清水圭、そして映画評論家のミルクマン斉藤さんが登壇しました。
硫黄島の摺鉢山山頂に6人のアメリカ兵たちが星条旗を立てる姿を映した有名な報道写真「硫黄島の国旗掲揚」をモチーフとする本作。そこに映った兵士たちは帰国後、一躍英雄にまつりあげられたものの、その影には人知れぬ苦悩があった……、という物語となります。第2次世界大戦の「硫黄島の戦い」を、アメリカ側からの視点(『父親たちの星条旗』)、日本側からの視点(硫黄島からの手紙)から描き出す2部構成の大作として話題を集めました。斉藤さんも「最初から両方作る予定で、(スティーブン)・スピルバーグと組んで作った映画。『硫黄島からの手紙』も、日本の軍人をものすごくまともに描いていましたね。(第2次世界大戦で)日本は敵国だったので、アメリカ側が日本人をまともに描くことはほとんどなかったんですが、(『硫黄島からの手紙』は)むしろ日本人が描くよりもまともに描いたと思います」と解説。
さらに「彼は共和党支持者ですが、兵士を馬鹿にする奴は許さない。大義を馬鹿にするのは許さないという立場の人なんです。だからこれと『硫黄島からの手紙』を続けて観ると、戦争の悲惨さが見えてくるように作られていますね」と語る斉藤さんのコメントに、清水が「『プライベート・ライアン』で戦争をリアルに描いたスピルバーグが製作に入っていますが、スピルバーグ自身もアメリカを称賛するのはやめようということなんですか?」と質問すると、「スピルバーグは曲者で、アメリカ史を見直そうという映画をたくさん作っているんですよ。そういうところでイーストウッドと気があったんでしょうね。もともと原作権を取ったのがスピルバーグで、イーストウッドと意気投合したことから監督をお願いしたいということになったんです」と返答しました。
そして最後に「僕たちものんきに生きていますけど、戦争の現実を知ってる方が年を召されて、戦争を知らない子どもたちが増えていますからね」と清水が語ると、斉藤さんも「子どもが親を知るようになるという映画ですからね」と付け加えました。