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京都の伝統工芸、截金(きりがね)の緻密な作業ぶりに参加者も思わず感嘆

2014-10-19
レポート
「映画もアートもその他も全部」をキャッチフレーズに開催中の京都国際映画祭。
会場のひとつである元・立誠小学校では、日本の伝統工芸体験ができるワークショップが行われました。
映画祭最終日となる19日には、「截金(きりがね)」の工芸師、大塚華仙さんが講師として来場。
ナビゲーターは、本映画祭アートプランナーのおかけんたが務めました。
「截金(きりがね)」とは、クモの糸状の極細に切られた金箔、銀箔、プラチナ箔などを、糊をつけた筆などを使って紙に固定。それらをもとに繊細な模様で彩る伝統工芸です。
この日のワークショップはまず、大塚さんによる「截金」についてのレクチャーから始まりました。
大塚さんによると、日本における截金の歴史は古く、6世紀頃の仏教伝来とともに紹介されたのだとか。その技法は、主に仏画、仏像などで使用され、受け継がれてきました。
現在、この技法は京都だけにしかなく、その技法を受け継いだ人の数もおそらく20人程度だといいます。
この日の会場には、ガレージキット・フィギュア・食玩など各種模型で知られる海洋堂と、大塚さんのコラボ作品「風神・雷神」「麒麟」「鬼娘」を展示。
「フィギュアに截金を付けるのは初めてなので、試行錯誤をしました」と大塚さんが振り返る通り、フィギュアの細かな箇所に施された截金は、大変に緻密なもの。
これにはおかも「簡単に作ったように見えるでしょうが、本当に難しい作業なんですよ。大塚さんは本当にすばらしい!」と称賛します。
来場者も、興味津々でそのフィギュアを眺めていました。

その後は実際に截金を体験。
まずは大塚さんがお手本を見せることになりました。
2本の筆を手に取り、片側の筆には糊を、もう片側の筆には金箔を引っ張り上げて、それを丁寧に画用紙に貼り付け、葉っぱのかたちに整える大塚さん。
その緻密で繊細な職人技に、来場者の皆さんも思わず息をのんで見入っていました。
その後、おかが「やってみたい人」と会場に呼びかけますが、大塚さんの職人技を目の当たりにしたばかりで躊躇してしまう来場者の皆さん。
そんな中、ひとりの男の子が「やります」と手を上げ、截金にチャレンジすることになりました。
その男の子は、筆を2本手にし、苦戦しながらも一本の金箔を画用紙に貼り付けることに成功。
おかも「けっこううまいじゃない!」と男の子のチャレンジをねぎらいました。
続いて截金にチャレンジすることになった女性は、短い金箔を4本使って、花の模様を作ることに。真剣な表情で一生懸命、花の模様を作り出したその女性は「めちゃめちゃ緊張しました」と言いながらも、充実した表情を見せていました。
そして最後は大塚さんがもう一度、截金を披露。スピーディでリズミカルなその筆さばきに参加者も「すごい…」と感心した様子を見せていました。