10月18日(土)、イオンシネマ京都桂川にて、第5回沖縄国際映画祭クリエイターズ・ファクトリー完成披露試写会が行われ、杉野希妃監督の初の長編作品「R-18文学賞 vol.3『マンガ肉と僕』」が上映されました。
クリエイターズ・ファクトリーとは、次世代を担う人材の発掘を目的としたプロジェクトで、第5回沖縄国際映画祭より新設。杉野監督は「クリエイターズ・ファクトリー最優秀ニュークリエイター賞」を受賞し、今作を手掛けることとなりました。
上映前に舞台挨拶が行われ、杉野希妃監督、徳永えりさん、ちすんさんが登壇、撮影にまつわる様々なトークを繰り広げました。
『マンガ肉と僕』は、主人公のワタベを取り巻く3人の女性が登場する物語。監督兼主演を務めた杉野監督に、“二足のわらじ”を履いた経緯を聞きました。
まず、『マンガ肉と僕』を映画化したきっかけは、「吉本興業さんから“R-18文学賞作品はどうですか”というお話をいただきました。その時は受賞作が決まっていなく、候補作が5、6作品ありました。その全部読んだところ、『マンガ肉と僕』がすごく面白くて。映画化することで小説にはない世界観を出せるのではないかという直感がありました。なので“この作品を撮らせていただけると嬉しいです”とお話したところ、数日後に『R-18文学賞』を受賞されて。私の勝手な思いですが、これは運命に違いないと、新潮社さんと吉本興業さんとお話して、企画開発を進めてきました」と、原作とは必然の出会いだったようです。
そして、主演も担った理由は「自分で監督して、自分でやってみたいという欲望があったので(笑)」と杉野監督。「ワタベ役の三浦くんには多大な迷惑をかけたのですが、器の大きい方で、受け入れてくれてやりやすかったです。スタッフさんもベテランの方々がついてくださったのですごく助かりました。京都の方々に支えられてできた映画だとひしひしと感じています」と感謝の意を表しました。
監督兼主演という役割には葛藤もあったそうで、「今まで自分の演技に満足したことがないのに、監督としてOKを出さなきゃいけなくて。“ああ、OKを言わなきゃいけない!”と (笑)、自問自答を繰り返しながらやりました」と撮影当時の心境を語りました。
そして話題は、3人の女性に振り回されるワタベ役を演じた三浦貴大さんについて。どんな方だったか聞いたところ…。
杉野監督は「アメージング!」と絶賛。「20代の役者さんの中で一番注目していた方だったのですが、吸収力が半端ないんです。すべてを言わなくても“わかりました、やってみます”と言って臨まれました!」と声を弾ませていました。
徳永さんは、三浦さんを相手に叩いたり、暴れたりするシーンが後半にあったそうですが、「始まる前にご挨拶したときに、“何でも受け止めるので、気にせずやってください”とおっしゃってくださいました。杉野監督は、俳優の感情や動きを大事にして、委ねてくださる方なのですが、それには相手との信頼関係が必要です。そういう意味では、三浦さんにすごく受け止めていただいたと思います」と三浦さんの懐の深さを絶賛。
ちすんさんも「また、ほめることになるんですけど」と前置きし、「本当に優しい方です。恋人のような役の場合、待ち時間でまったくしゃべれず、いざ演技となってもなかなか難しいのですが、普段から普通に接してくださったので、撮影にもすっと入れてよかったです」とお二人に続いて絶賛されていました。
舞台挨拶もそろそろ終わりという頃、「一言、言っておかないといけないことを忘れていました!」と杉野監督。作品名の読み方について、気になったことがあったとか。
「作品名は、“マンガ、肉、と、僕”ではなく“マンガ肉、と、僕”です。オープニングセレモニーの時にも“マンガ、肉、と、僕”と4回ぐらい言われて、すごくショックだったのでそこだけは…」とのこと。作品中、マンガ肉というものが存在し、冒頭でそれが何なのかすぐ分かるそうなので、その正体も楽しみにしてほしいとのことでした。
最後に杉野監督が「今日の上映が実は、日本で初めて私の長編監督作品が上映される日なんです。ちょっと緊張しているのですが、気に入っていただけたら『マンガ肉と僕』をご一緒に宣伝していただけると嬉しいです。よろしくお願いします!」とPRし、舞台挨拶を終えました。